恐怖の話し手体験②(最終話)
前回からの続きです。
4:恐怖再び
聴き手と話し手が入れ替わり、いよいよわたしが話し手です。あの恐怖が再び襲ってくるのか、それとも少しは聴いてくれるのか?半信半疑で話し始めました。
わたし「先ほどと同じ話で、3月末に他の団体の傾聴講座に行きました」
Aさんは目を閉じたまま無言でうなずきます。
わたし「全然聴けてなくて、聴き手の言葉の強弱をみんなで真剣に話し合ってました」
Aさんは、目を開けたり閉じたりで大きくうなずくばかり。
わたし「あの、相槌がないので聴いてもらっている感がないんですけど・・・」
Aさん「全身全霊で聴こうと思って」
このあと再び話始めましたが、相変わらず大きくうなずくだけで相槌はしてくれません。わたしは内心「こりゃダメだ・・・」。っと思いました。
わたしが「ハイ」。という相槌をして欲しいと言っているのにどこ吹く風・・・。「何を考えているんだか・・・」。っと思いつつ話を続けました。
そして”恐怖のうなづきのみ”にわたしが耐えられなくなって、「この話どう思いますか?」。と聞いたら
Aさん「話していいですか?頭来るよね!」
と、いきなり怒りを露わにするのです。重いものを抱えそれが整理できていないで、感情も安定していない。
おそらく心の奥底に怒りと憎しみが溜まっていて、それがちょっとしたきっかけで発火し噴火していると思います。
わたしが最初からずっと感じている恐怖は、Aさんの怒りと憎しみだと思います。本人が自分でそういう空気を出していることに気付いてないでしょう。
聴いてもらっている感が全くなかったので、わたしは正直にAさんに「怖くて話を続けられません」。と告げて話すのを辞めました。
5:こういう人は”聴き手をやってはいけません”
ロールプレイ(傾聴の練習)が終わり、わたしは正直な気持ちをホワイトボードに書きました。
「相槌がなく怖かったです。話を聴いてもらった感じも全然なかったです」
と。わたしの感想を見た松本先生は「これは、どちらかに問題があるな」。と、ズバリと指摘しました。
Aさんは
・自分の問題が整理されていない
・話す人より精神的に安定していない
聴き手に求められる二つの要素ができていませんでした。Aさん自身のことでいっぱいいっぱいで、とても人の話を聴ける余裕がありませんでした。
その余裕のなさは感情の乱れとなり、怒りと憎しみが話し手に伝わったのです。厳しい事を言いますが、こういう人は聴き手をやってはいけません。話し手を傷つけるだけです。
わたしは前にもこういう人達にあたり、そのつど傷つけられてきました。話し手を傷つけてどこが一体、傾聴なんでしょうね・・・。
話を聴くことを実に簡単に考えている人が、五万といますが
・自分の問題は整理しておくこと
・精神的、感情的に安定している事
この二つは必須ですね。傾聴をなさる人は日頃からこのことは念頭においていただきたいと思います。
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